書評;『理科系の作文技術』
- 作者: 木下是雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1981/09/22
- メディア: 新書
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テンプレ評
内容:★★★ 読みやすさ:★★★
総頁(本文):244(234)
読了時間:5時間
想定読者(必要知識):理系学部生以上(しいて挙げれば、堅物理系教科書に苦労した経験)
書籍紹介
- 文章読本ではなく、”理科系の”作文技術;レポートの作文・仕様書の作文に活かすことの出来る技術を解説する。
(”理科系”とターゲットを絞っていることには理由があり、本書に示されている。)
- 作文構成についての解説であり、「言葉の意味が××だから」といった解説は含まれない。
(例えば、「文章の要点は、最後に回さず、最初に挙げてしまえ」といった内容。「”おそらく”と”たぶん”ではどちらが曖昧性が高いか」といった内容は含まれない。)
- 必要に応じて、実際に分かりにくい文章を例示し、分かりにくい所以を分析した上で、解説に入る。
面白かったところ
- 理科系の堅物教科書が、なぜあんなにもわかりにくいのか不思議でならなかったが、その答えを得られた。
- 自分の文章の悪さの本質を垣間見た。(考察が足らず、まだまだ明確に捕らえられないが)
- 印刷原稿の節は、人によっては時代遅れで面白さに欠けるかも知れないが、Latexを愛用した経験から、参考になる内容が見つけられた。
- 日本語理科系文章中に現れる「;」「:」「-」の意味が明示されており、はっきりと掴めた。(”作者の考える”意味かも知れないが)
悪かったところ
- 強いてあげれば、後半のいくつかの節について個人的には良く思えず、比較的後半の内容が落ちる点が目に付いた。(逆に言えば、大事な内容を先に挙げてしまうことに成功している)
その他
- (欠点に入れるのは適切でないが、他に書くところがなかったので:)わかりにくい文章の悪い点が決定的に書かれているため、この書を読んだ以降、そういった文章の悪い箇所が目に付いてしまう。
- 本書を読んだ自分は、「この書評文には訂正箇所なんて山ほどある」ことを自覚しており、訂正を行わないのは「直感的な文章を書きたい」狙いと、「邪魔くさい」という怠惰である。(本書の名誉のために記しておく。)
- 先に少し挙げたが、日本語理科系文章中に現れる「;」「:」「-」は一般的でない。本来ならこれらの使用は避けるべきかもしれない。
(使い方がはっきりした自分は使いたいけど)